【ESGのSocial・社会とは?】具体的アプローチ5事例を紹介

サステナブル経営

 近年、持続可能な社会を目指してESGが提唱されており、ESGを指針として会社を運営しようとする動きが目立ってきました。そんなESGですが、Environment(環境)Social(社会)Governance(企業統治)の3つの単語は知っていても1つ1つの詳しい内容まで知っている方は多くはないと思います。

 そこで、今回はESGのS、Social(社会)について詳しく説明していきます。

ESGとは

 改めて説明すると、ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字をとったもので、投資や経営の場面で主に利用される用語です。利益を上げることだけでなく、サステナビリティに力を入れる「ESG経営」や、投資家が企業を評価する際に、企業のESGへの取組み評価する「ESG投資」が盛んになってきています。

ESGについて詳しく説明した記事はこちらをご覧ください。

Socialとは

 ESGのSocial(社会)は、社会全体で解決しなければならないとされる課題を指します。国連が提唱した「PRI(責任投資原則)」によると、労働条件(強制労働や児童労働なども含む)や、健康・安全・従業員関係・多様性・地域コミュニティに関連する課題が挙げられています。

 まず労働条件・健康・安全・従業員関係・多様性について、多くの企業にとって身近なところでは、過重労働・ジェンダー不平等・セクハラ・パワハラ・コンプライアンス違反などの問題が挙げられます。働き方改革が進むなか、非正規労働者への待遇格差やワークライフバランスの欠如・ダイバーシティの欠如など多くの課題が山積みになっています。

 また、日本は国際的にみても、ジェンダー平等への取り組みが遅れているとされている点にも注意が必要です。

 最後に地域コミュニティについて、企業が取り組んでいるものとしては企業が主催する教育プログラムなどを通しての企業と地域コミュニティの連携などが挙げられます。

 以上のように、Socialは持続可能な社会を実現するために大切な要素を多く含んでいることがわかります。しかし、CNBCの調査によると、ESGに関わる財務の管理職のほとんどがESGのEnvironment(環境)にフォーカスを当てすぎているとされています。

 バランスよくESG経営を行うためにも、より一層Socialについて学ぶ必要がありそうです。

健康経営銘柄について

 次に、Socialについて行政が取り組んでいるものの一つとして、健康経営銘柄について説明したいと思います。「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点から考え、実践することです。企業の理念に基づき、従業員等への健康に投資を行うことは、従業員の活力の向上や生産性の向上など、組織全体の活性化をもたらし結果的に業績・株価の向上につながると期待されています。

 そこで、健康経営を実践していると経済産業省から認められた企業には健康経営銘柄が与えられるようになりました。健康経営銘柄を獲得すると、Socialに取り組んでいるというアピールポイントの一つにもなります。

事例

 ここで、ESGのSに対するいろんな企業の取り組みを紹介したいと思います。

花王

 

出典:https://www.kao.com/jp/

 花王は「花王グループ健康宣言」やESG戦略である「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)などの下、「社員の健康維持増進と安全」を推進してきました。その結果、8年連続「健康経営銘柄」に選定されています。

 主な取り組みとしては、社内全体に健康経営を進めるために、各事業場などに「健康実務責任者」「健康実務担当者」を配置するなどがあります。また、健康づくりマネジメントシステムでは、健康データ(問診・健診・就業・疾病等)をまとめ、全国の健康相談室にも提供することで、エリアごとの実態に応じた企画立案・実施を可能にしています。

パナソニック

出典:https://panasonic.jp/

家電をはじめとしてさまざまなサービスを展開してきたパナソニックは、「誰もがやりたいことを叶えながら共に生きていく社会へ。」をスローガンに掲げ、サステナビリティへの取り組みを実践してきました。

 例としては、コードに足を引っかけても転倒しにくい安全機能付きマグネットコンセントなどのユニバーサルデザインを心がけた商品の製作などが挙げられます。

オリックス

出典:https://www.orix.co.jp/grp/

 オリックスは、「先進的・国際的な金融サービス事業を通じて、新しい価値と環境の創造を目指し、社会に貢献する」という旨の企業理念の下、ESGに積極的に取組んでいる企業としても有名です。

 例えば、女性の積極的な雇用が挙げられrます。2030年3月期までに、取締役会の女性取締役の比率を30%以上、オリックスグループの女性管理職比率を30%以上とするなどの目標を設定し男女平等を目指しています。

その他、地域活性化のためのイベント開催や地域の自然・生態系との共生と地域社会への貢献も行っています。

アサヒグループホールディングス

出典:https://www.asahibeer.co.jp/

 アサヒグループはサス、テナビリティと経営の統合を実現させるため、未来への約束「Cheer the Future」と「サステナビリティ・ストーリー」を設定し、ESG経営に取組んでいます。

 日本全国の特産の果実を使用した「特産三ツ矢」の果実原料の産地にある小学校での授業などにより、地域産業への興味や特産品に対する誇り醸成のための取り組みなどが挙げられます。

キヤノン

出典:https://canon.jp/

 キヤノンは、創立51年目にあたる1988年には「共生」を新しい企業理念として掲げ、創業以来の人間尊重主義をグローバルに昇華させて、世界中のステークホルダーともに歩んでいく姿勢を明らかにしました。主な取り組み例としては、女性管理職候補者の育成を目的とした「女性リーダー研修」の実施・会社独自の製品安全基準の設定・労働環境に関する意識調査の実施・東南アジアを中心とした社会貢献プログラムの実施があります。

まとめ

  • ESGのSocial(社会)は、社会全体で解決しなければならないとされる課題
  • Socialの主な問題点は、労働条件・健康・安全・従業員関係・多様性・地域コミュニティに関連する
  • 日本においての問題としては、過重労働・ジェンダー不平等・セクハラ・パワハラ・コンプライアンス違反などが注目されている
  • 大手企業の多くがESGのSocialに対する取り組みをおこなっており、健康経営銘柄などの行政公認の銘柄も生まれている

執筆者

●笹埜 健斗(株式会社Scrumy / 一般社団法人サステイナビリティ協会)プロフィール

サステイナビリティ政策学,ESG情報学者。IQ147。
高校時代に生死の境を彷徨い、哲学に目覚める。哲学オリンピック金メダリストを受賞。

●経歴

京都大学法学部を主席で卒業後、東京大学大学院情報学環・学際情報学府を経て、全5種類の法人 (株式会社/合同会社/特例有限会社/NPO法人/一般社団法人) の役員等を歴任。
いち早くESG経営に注目し、
2021年4月、株式会社Scrumyを創業。
2022年4月、一般社団法人サステイナビリティ協会代表理事に就任。
現在、資本主義のSXに向けて、社会情報学、法政策学の観点から、サステイナビリティ学に関する先進的な研究と事業を行う。

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