中小企業のESG経営ってどんなメリットがあるの?事例とともに解説

サステナブル経営

現状

まず、ESG経営の現状を解説していきます。ESGを掲げた責任投資原則(PRI)に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が署名した後、国内でも一部大手企業を中心にESG経営が広まっています。しかし、フォーバルグループの中小企業のSDGs・ESGへの理解に関する調査によると、中小企業の間でESGを認知しているのは31.1%ほどとのことです。このことから、まだまだ中小企業の間でのESGの認知度はまだまだ高くないことがわかります。

(出所:https://www.forval.co.jp/consulting/pdf/bluereport_mini_202202.pdf

中小企業が取り入れるメリット

銀行からの融資の際に有利になる

最近では銀行でもESGヘの取り組みを融資判断の材料にするケースが増えています。銀行にも責任投資原則(PRI)の”銀行版”である責任銀行原則(PRB)というものがあり、融資の審査の際にESGの観点からも判断されることになります。また、この傾向は近年顕著になっていることから、ESGの要請に答えることは、メリットを超えて必要条件になりつつあるといえるでしょう。

ESGに取り組む大手企業からの評価向上

ESGを推進する流れは大手企業,もっと遡れば海外の機関投資家から来ています。大手企業は機関投資家の要望を受け,サプライチェーン上にある取引先企業もESGへの取り組みを求めるようになってきました。

ESGに取り組むことで、大手企業からの評価が向上したり,新たな取引につながるかもしれません,逆に中小企業だからと言って取り組みを先延ばしにしてしまうと,大手企業との取引を打ち消されてしまう危険性があります。

PRIに署名した投資家からの評価向上

責任投資原則に署名した投資家から投資を受ける場合には、当然ESGに取り組む企業はよりよい評価を得られるでしょう。もっとも、署名した投資家から投資を受ける場面は中小企業の場合多くはなく、上場企業のほうが多いのかもしれません。

しかし、将来的に上場を検討していたり,事業を大きく展開させるタイミングでVCやファンドの出資を受けることもあるでしょう。その備えとしてESG経営を早めに始めておくとよいです。加えて、上場審査の際にはガバナンスの観点からの審査もありますので、今後上場を考えている中小企業はぜひ積極的に取り組むべきといえるでしょう。

事例

続いて、ESGに取り組む中小企業の事例を紹介していきます。

大川印刷

大川印刷は、違法伐採による紙でないことを証明する「FSC森林認証紙」や、石油系溶剤を全く含まないノンVOC(揮発性有機化合物)インクを使用し、環境に配慮した製品づくりを行っています。また、社内横断のボトムアップ型の組織編成を行ってSDGsのプロジェクトチームを発足し、積極的に社会的要請に応えています。

(出所:https://j-net21.smrj.go.jp/special/chusho_sdgs/sdgs/19052201.html)

有限会社谷治新太郎商店

有限会社谷治新太郎商店は、主に墓地にある卒塔婆の製造を行っている企業です。こちらでは、卒塔婆の再利用や、社内の省エネ化やペーパーレスに取り組むなど、環境に配慮した取り組みを行っています.

(出所:https://j-net21.smrj.go.jp/special/chusho_sdgs/sdgs/19061201.html

雪ヶ谷化学工業株式会社

主にスポンジ等の発泡体を製造する石油化学メーカーの雪ヶ谷化学工業株式会社は、石油由来原料を減らし、天然ゴムを10〜90%ブレンドしたサステナブルスポンジ「ユキロンRP」を製造しています。また原料をフェアトレードのゴムのみとするなど、途上国の労働問題という社会課題への取り組みも行っています。

(出所:https://j-net21.smrj.go.jp/special/chusho_sdgs/sdgs/20210906.html

以上、ESG経営を行う中小企業の事例を紹介しました。

上記の例では、事業の根幹にかかわる部分からのアプローチが多かったと思います。しかし、ほかにも健康経営、ペーパーレス、関係機関への賛同、太陽光やLEDの導入など、小規模なものもまた立派なESGの取り組みといえます。まずは、このようなものから始めていくと取り組みやすいのかもしれませんね。

まとめ

  • 現状では、ESG経営は一部大手企業の間で広まっており、中小企業の間ではまだまだ広まっていない
  • メリットは「銀行からの融資が受けやすくなる」「サプライチェーンからESG経営を求められる」「PRIに署名した投資家からの評価向上」

執筆者

●笹埜 健斗(株式会社Scrumy / 一般社団法人サステイナビリティ協会)プロフィール

サステイナビリティ政策学,ESG情報学者。IQ147。
高校時代に生死の境を彷徨い、哲学に目覚める。哲学オリンピック金メダリストを受賞。

●経歴

京都大学法学部を主席で卒業後、東京大学大学院情報学環・学際情報学府を経て、全5種類の法人 (株式会社/合同会社/特例有限会社/NPO法人/一般社団法人) の役員等を歴任。
いち早くESG経営に注目し、
2021年4月、株式会社Scrumyを創業。
2022年4月、一般社団法人サステイナビリティ協会代表理事に就任。
現在、資本主義のSXに向けて、社会情報学、法政策学の観点から、サステイナビリティ学に関する先進的な研究と事業を行う。

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